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ike_writer's novels

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「しまった、敵の攻撃か!?」
視界は真っ白。というより純白?
と思った瞬間男は乾いた破裂音とともに頭頂部に電流が走ったかのような痛みを感じた。
「ほう。あたしのスカートの中にどんな敵が潜んでいたと?」
ショートカットの女子生徒が赤い上履きを右手に持って凄んでくる。
「だって君が“覗いてみる?”なんて言うから……」
「ちょっとからかっただけでしょ! 真に受けるなんて、あんたバカぁ?」
「もうその辺にしといてやれよ。せっかくの美人が台無しだぜ?」
野太い声で昭和の匂いたっぷりのセリフを放った声の主は机に両足を足をどっかと乗せて男と女生徒ににウィンクしてきた。
「先輩!」男の口から自然に声が出る。口に出してから男は激しく狼狽した。なぜなら男は“先輩”と呼んだこの人物のことを全く知らなかったからだ。しかしどこかで会ったような気もする。でもやはり知らないような気もする。
「みんな席について~!」
ロングヘアに変わったウェーブのかかった女性が教室に入ってきた。まるで髪の両脇にカタツムリをぶらさげているみたいだ。
「誰です? あのオバサン?」
男は心の中でつぶやいたつもりだったが気がついたら先輩に質問していた。
「オバ!……」
髪の両脇にカタツムリな髪型の女性が拳を握りしめてワナワナ震えている。
「はははは! 先生もコイツにかかっちゃオバサンだ!」
先輩が豪快に笑う。先輩はどう見てもカタツムリの彼女と同い年くらいに見える。

男が妙な違和感を感じていると、ずん、と地鳴りのような音が聞こえ教室が揺れた。
「チッ! 野郎また来やがったか」
先輩はどこからか自動小銃を持ち出し窓の外へ発砲した。
すると再びずん、という地鳴りのような音が聞こえた後教室はしんと静まりかえった。
男が先程先輩が発砲した窓の外を見ると、校庭で体長20mほどの人の形をした何かがうつ伏せになって倒れていた。
ike_writer 11 page of 東京駅~愛・おぼえていますか~
点灯し始めた通路の灯りに導かれるように男は通路の奥へと進んだ。
歩を進めるごとに背後の灯りが消えていく。
次々と消えていく灯りに急かされるように男の歩く速度は速まっていく。
別の通路と交差している場所を通り抜けようとしたその瞬間、彼は右脇腹に確かな質量と激痛を感じて左方向へとよろめき倒れた。
脇腹を抑えつつ立ち上がると真の前で左肩を抑えながら悶絶している制服姿の少女が見えた。口には食パンをくわえている。
「いたた……。ちょっとあぶないじゃないのよ!」
少女がまくしたてる。先程出会ったショートカットの少女に似ているが、雰囲気が少し違う。
「すまない。先を急いでいたので」男が手を差し出すと、少女は自分がようやく自分が寝転がったままの姿勢であることに気がついたのか顔を赤らめてスカートの裾を両手で押さえた。
「見た?」
「何を?」
「……言わせるな! ヘンタイ!」
そう言うと彼女は走り去って行った。
男は再び通路の灯りに急かされるように先を急いだ。
しばらくすると道は唐突に終わり、行き止まりには横開きの木の扉が取り付けてあった。
扉の上には「2-A」という木でできたプレートが貼ってある。
男が扉を開けると「遅いぞ。今日も遅刻か」という声がした。
声の主は中学時代の担任だった。そして男はいつの間にか中学時代の制服を着ていた。
さらに教壇の脇には先程会った少女。黒板に自分の名前を書いてあるらしいがぼやけて見えない。
「あ! さっきのパンツ覗き魔!」男を見ると少女は指さして言った。
「いや、別に覗いては……」
「……じゃ、あらためて覗いてみる?」
もったいつけるように少女が制服のスカートをたくしあげるとそこは混じりけのない漆黒の闇がどこまでも広がっていて、男は抗うこともできぬまま彼女のスカートの中の異次元空間に吸い込まれていった。
ike_writer 7 page of 東京駅~愛・おぼえていますか~
「え? 僕一人って、だって現に……」

「冥王星軌道付近」

清掃員は男の言葉を遮って言った。

「地球外生命体の突然の攻撃を避けるため、超空間移動を試みた本駅は宇宙空間をはるか遠く飛ばされ冥王星軌道付近へと辿り着いた」

「超空間移動ってそんな技術があるなんて聞いたこともないよ」

「本当に大切なことは民衆には決してし伝えられないのが世の常」

「ウソだ。ありえないよこんなの」

「54億キロ」

「え?」

「冥王星から地球までの距離およそ54億キロ。時速100キロで進んだ場合、地球に辿り着くまでの所要時間はおおよそ、6164年と、139日」

「そんな……。そうだ。さっきの超空間なんとかで戻ればいいじゃないか!」

「フォールドシステムはその超空間移動時の負荷に耐えきれず消滅した。現時点であなたが地球に戻れる手段はない」

男は糸の切れた操り人形のようにその場ぺたんと尻もちをついて倒れこんだ。


「あは、あはは。部長に欠勤の理由を何て説明説明すればいいんだ? 明日は営業と現場に行かなければいけないのに……。地球に残された僕の妻は、年々ぽっちゃりさんに拍車のかかる僕の妻はどうなる? 空気みたいな存在だったけど、会えないとなるとなんて寂しいんだ。エロ本の隠し場所が彼女にばれたら、何かの拍子にパソコンのCドライブに隠していた激エロ動画を見つけられたら……。うふ。なんで今そんなこと考えてるんだろう? うは、うはははは、ってなんじゃこりゃぁぁ!!! うわぁぁぁぁ!!!」

男は気がつくと号泣していた。こぼれ落ちた涙が地面に落ちる前に水玉になってふわりと浮いた。

「な、なんか息が苦しい」

「空気が少なくなってるのね。別のところに移動するわ」

清掃員はいつの間にかぴったりとした宇宙服のようなものを着たショートカットの少女になっていた。

「大丈夫。あなたはあたしが守るから」
ike_writer 5 page of 東京駅~愛・おぼえていますか~
終電前の東京駅。突如大音量のサイレンとともに地面が大きく揺らいだ。避難命令のアナウンスが場内に響く。全速力で八重洲口の改札を抜けると、その先は・・・・・・宇宙空間だった。「当駅は地球外生命体の攻撃を受け、急遽宇宙船にトランスフォームしこれを回避しました」遠くで青い星が消えるのが見えた。
ike_writer prologue of 東京駅~愛・おぼえていますか~