Send a message Send a message

imaginationside's novels

recent pages RSS

「御姉様」

面会時間はとっくに過ぎた病室。
私は寝ずに仕えている。

目を覚ました御姉様に呼び掛け、
白くきめ細かい美しい肌に伝う激痛から来る脂汗を拭った。
肩甲骨に舌を這わせ、傷口にキスをする。
痛みが私と共に生を分かつ実感をくれると言う。

「ありがとう」

礼には及びません。
imaginationside 12 page of 御主人様と御姉様
「ひっ…や、やだぁ……」

御姉様は保護されてからも、人を見る度に酷く怯えていた。

「彼女は私が見るから他の子をお願い」

まともに事情聴取出来ない精神状態であった為、選任の医師が受け持つ事となった。
ある日の朝、医師が顔を出すと御姉様は小さく口を開いた。

「…御主人様」
imaginationside 11 page of 御主人様と御姉様
「死に…ない、よぉ…」

声を絞り出して必死に懇願する御姉様の指先は私の頬を擦めた。
私は優しい言葉を掛けてあげる事が出来ない。
だってもう助からないかもしれないから。

「やだ、よぉ…」

私は抱き締める事しか出来なかった。
御姉様も私に腕を回す。
頬を寄せ呼吸を合わせて、一緒に夢の世界へ。
imaginationside 10 page of 御主人様と御姉様
車を借りて出掛けた。
私が疲れて運転を変わって貰い、
手渡されたお茶を飲んだら気が緩んだのか眠たくなった。

気付けば樹海の道無き中を走っている。
彼は車を止め、目の色を変えて私に襲い掛かる。
散々乱暴した後にナイフを振り上げた。
上がった鮮血が他人の物で、彼は逃げ出した。
imaginationside 9 page of 御主人様と御姉様
先日知り合った青年にお礼がしたいからと連絡先を聞いた。
彼はとても喜んでいる。

私の事が一目で気に入ったと言っていた。
まだ御姉様の事が頭から離れないけれど、
彼が幸せならばそれで良かった。

近いうちに旅行する約束をした。

……御姉様とも行った事無いのに。
imaginationside 8 page of 御主人様と御姉様
初夏を迎えたばかりのある猛暑日。
熱に浮かされ意識が朦朧とした私の足は重力に負ける。

「大丈夫ですか!?」

手を着く事も出来ず無防備に倒れる私を青年が受け止めた。

「日陰に入りましょう」

近くの木陰に入り手渡された水に口を付ける。
更に熱が上がった初めての間接キス。

御姉様とだってした事無いのに…
imaginationside 7 page of 御主人様と御姉様
無意識のうちに御姉様の行動範囲を彷徨っていた事もあるが、
運命の悪戯か皮肉にも見付けてしまった。

隣に男性が居る。先回りして狭い通路に入った。
装飾品に偽装した短剣を抜く。

鈴の音のように美しい笑い声が聞こえて来る。
やっぱり御姉様の笑顔を失いたくなくて、自分を斬った。

手首から垂れる血を拭いもせずに私は逃げ出す。
imaginationside 6 page of 御主人様と御姉様
目の前の御姉様は私に微笑み掛けた。
私も思わず笑顔になる。
ページを捲って他の人へ向けられているものだと解ると、切なくなった私は家を飛び出した。

小雨がぱらつく中立ち寄ったコンビニで無意識に取った缶コーヒーは、
前の御姉様が仕事に疲れた私によく差し入れてくれた物だった。

アルバムなんて捨てなきゃ。
過去に縋ったって、何の意味もないって解っているのに…
imaginationside 5 page of 御主人様と御姉様
「ごめんね、ごめんね」

御姉様は再び男の人を知ってしまった。
もう私とは一緒に居られない。
何を言っても謝る事しか出来ない御姉様を苦しめたくなくて、
私は最後に、と全てが刻まれた手首にキスをした。

御姉様と一緒に居た証を残したくて、剃刀を買って帰った。
imaginationside 4 page of 御主人様と御姉様
どんな服でもどこに居てもアームウォーマーを外さない私の御姉様。
ある日合鍵を貰い喜ぶ私に優しくキスをして別れた。

翌日仕事が遅くなって夜中にお邪魔すると灰皿一杯に血の池を作って泣いていた。
手当てを済ませて抱き締めると落ち着いたのかキスをせがんで来る。
可愛い御姉様。
imaginationside 3 page of 御主人様と御姉様

Jump to the previous novels Jump to the previous novels