Send a comment to author Send a comment to author   Read pages newly added Read pages newly added   Read from prologue Read from prologue

日記  (ノンフィクション, 1 author, 2521 views The author wishes to write this novel alone.) RSS

  • aoku_aruku
  • 1 page

2015年.秋

  • aoku_aruku
  • 2 page


例えば、
何かを批判したり常に苛々していたり、他人の不幸を見聞きして心底楽しそうに笑ったりする可哀想な大人を見かけたときにいつも思うことがある。
この人は子供の頃にどれほど悲しい経験をしたのだろう、と。

例えば、
尋常じゃないくらいつらいことが自分の身に起こったときにはこう思う。
つらいのは僕だけじゃない。誰だってつらい経験は腐るほどしてるはずだ。愚痴や弱音を吐くのはそんな人たちに対して失礼だし、きっと不快だろう、と。

誰だってそうだ。
みんな同じだ。
自分だけじゃない。
甘えるな、と。
つらい場面に遭遇するたびいつも自分に言い聞かせてきた。

みんな同じだ。
解決しようのない悩みだったり。幼い頃のトラウマだったり。自分の心の深くにある闇だったり。
そういうたくさんの小さな諦めや絶望や悲しみや痛みが積み重なって、支えきれないほどの荷物になって、それでも前を向いて歩いている。
できるだけ見えないように隠しながら。
気を遣わせてしまわないようにできるだけ明るく笑って、その荷物にさえ可愛げのある刺繍を施しながら。
「大丈夫、これは僕のものだから。これのおかげでここまで歩いて来れたんだよ。こんなに強くなれたんだよ」
そう笑って、言いながら。
「それに僕だけじゃないだろう。みんなも同じはずだろう」
そう励ましあいながら。

自分だけじゃない。
つらいのは、苦しいのは、みんな同じだ。
みんな同じくらい大きな荷物を背負って、それでも前を向いて歩いている。
何度打ちのめされても立ち上がり続けてきた。
そういう人たちだから、友達になりたいと思えた。
心の底から大切だと思えた。

  • aoku_aruku
  • 3 page

そう思って生きてきた。
これからも、そう思って生きていくことに変わりはない。
みんな色んな痛みを抱えて生きている。
それでも明るく懸命に生きている。
もがき続けながら、抗い続けながら生きている。
その姿は本当に魅力的だ。
僕もそうでありたい。
そういう人たちにもっとこれから先も出会いたい。

だけど、そんなふうに思って生きてきたからなのか、自分が大切にしたいと思った人の力に全力でなりたいし、その人のすべてを受け入れたいすべての過ちを許したいと思う反面、自分のこととなるとさっぱりだった。
大丈夫だよ、が口癖だし。助けて、なんて口が裂けても言えない。

僕は自分のことを人一倍楽観的な性格だと思うし、すべてどうにかなる、悲しいことがあったら今日はもう美味しいものを食べて寝てしまえばいい、夜に考え込まずに起きてから、それでもまだ不安な気持ちが消えないのならお日様の下でゆっくり振り返ればいい。
大きな悲しみはそのうち溶けていく。慣れていく。そのうち受け入れることが上手になっていく。色んな楽しい出来事にかき消されていく。過去になっていく。遠くなって、小さくなっていく。

そんなふうにたぶん、忘れたふりをしていたのかもしれない。
見て見ぬ振り。大人になったふりをしていたのかもしれない。
それでいいと思っていた。
だって、大丈夫じゃないことを大丈夫じゃないって言ったって何も変わらないし、それならいっそ大丈夫と言ってしまって前を向いたほうが物事がすべてうまくいくと思っていたから。

  • aoku_aruku
  • 4 page

その考え方を今さら捨てる気は無い。
大丈夫じゃなかったとき、それこそ、生きることをもう無理だと諦めるほどに心が死んだことが今までの人生のなかで2度あったけれど。
それでも乗り越えられた。
今でも信じられないけれど、乗り越えられた。
永遠に続く闇にしか感じられなかったそれにも、いつかは終わりがあることを知った。

それから先の人生、僕の口癖は大丈夫だよ、になった。どれほど深い暗闇の底にいても、歩き続ければ、希望をどんなに小さくてもいいから持ち続ければ、まったく問題ない。絶対に大丈夫。
大丈夫じゃないことも大丈夫になる。
不可能だと思えることが可能にはならなくとも、不可能なことが不可能なままだとしても、この世界はとても広い。
新しいものが。
見たこともない、知らないものが。
必ず救ってくれる。手を差し伸べてくれる。
身体を支えて、背中を押してくれる。
たったひとつの不可能を、たくさんの新しい可能なことが取り囲んで。
不可能なことが不可能なままだとしても、それはとても小さなものになる。
大切にするべきものを間違えてはいけない、何かを呪う必要もないし、何かのせいにする必要もない。
そう思えるようになったときに、もう大丈夫だと胸を張って言えている。

How to read this page

You can read a novel from top to bottom.


If another continuation exists, Jump to the next page icons will be shown at right side of a page.

Clicking an author's icon between Jump to the next page icons, you can go to another continuation.


If you wish to write a continuation of a page, please click a body of the page.

How to read this page
Close this explanation